2025-04-01 00:00:00

ミニ大通の窓辺から

4月のコラム「プライベートレッスンについて」をアップしました

【プライベートレッスンについて】

プライベートレッスンは今年から新しく加えたプログラムです。他のレッスンとの大きな違いは、その内容や受講する日時をあらかじめご相談して、ご希望に沿って行うことにあります。

 

たとえば、ブーケ・ド・マリエと呼ばれる、花嫁が持つブーケの作り方を学びたいとか、もっと基礎からスパイラルブーケに取り組みたいなど、より深く楽しむブーケ作りは個別対応ならではです実例を見てみましょう。

 

こちらの方は、ブーケ・ド・マリエの年間プログラムをご希望されています。前回はチューリップを現代風に束ねていただきました。フランスの花様式に明るければ、この葉使いに、モニク・ゴーチェ先生を思い出すかもしれません。(2025.4)

2025-01-01 00:00:00

ミニ大通の窓辺から 2025

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【アボンヌモンについて】

アボンヌモンとは、フランス語でサブスクリプションというほどの意味で、店舗や事務所といった場所への花飾りの定期契約のことです。ご依頼を受ければ、まず下見をして、その空間でしか出来ない花飾りをご提案いたします。

 

たとえば、こちらのリストランテ/バーでは、その天井高を生かして、以前この欄でもご紹介したツェツェの「なまけものの花器」に花を飾ることを思いつきました。実際に食事をしながら閃いた花飾りのアイデアです。 

 

過日、その考えを歌にしたので、ちょっと詠んでみましょうか。新年ですし。(2025.1)

 

肘掛け椅子(フォトゥイユ)に腰おろす仰ぎみれば緑を纏った「なまけもの」

 

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【私の花器コレクション・13】

 

最近よく見かける「ディアボロ」という名の花器を知ったのは、今から25年ほど前のことで、四角い形のガラス器の中央に、大道芸が使う空中独楽のような窪みが花留めとなった花器です。奥行きもあって、花を投げ入れることも束を飾ることもできます。

 

デザインしたのはプロダクトデザイナーのマリアンヌ・ゲタンです。彼女は、当時パリにあった花屋「クリスチャン・トルチュ」のために、様々な花器を展開していますが、この「ディアボロ」は人気が高く、数年前に再販されて、現在でも手に入れることができます。

 

ちなみに、この写真左の透明な方は、スペインのメーカーから2010年頃に販売されたものですが、程なく販売中止になりました。その後、「ディアボロ」にはクリスチャン・トルチュのロゴが入ったのもこの一件があったからかもしれません。(2025.2)

 

 

 

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【近ごろのチューリップ】

 

春の花を代表するチューリップは花姿や色も豊富で、私たちの偏愛ぶりは17世紀から続いています。花屋において、最も品種が多く出回るのが3月です。彩度の低い品種が増えているのが近ごろの傾向でしょうか。

 

完全なるベージュ色のラ・ベルエポック、八重でフリンジ咲きのピンクマジック、紫と茶が混ざり合うウィンダム、その名の通り銅を連想させるコッパーイメージ、暗さの中に華やかさ漂うブラックヒーローという具合。

 

雪解けとともに、色とりどりのチューリップだけを束ねるレッスンを楽しんだり、アソートをご提案することにしたのも、近ごろのチューリップはこれまで以上に魅力的な品種が多いからです。手にすることで心が豊かになります。(2025.3)

2024-01-31 11:30:00

ミニ大通の窓辺から 2024

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【花のレッスン、色々】

花のレッスンには、技術を学びたい、資格やデュプロムを取得したいなど様々な目的がありますが、楽しみ続けることも大切です。ご要望にお応えするうちに色々増えましたので、少しまとめてみましょう。

 

まずは、レギュラーレッスン。事前に公開したプログラムに沿って、火木土に行います。スペシャリテはその豪華版です。

 

続いて、ショートレッスン。随時開催で、その時、店内にある花材で作ります。見本の製作はありません。

 

そして、市場レッスン。朝、市場で花を選び、店に戻ってブーケを作ります。市場見学付のレッスンです。花屋気分も味わえ、ちょっとした特別感があります。

 

最後は、ナイトレッスン。日中は時間が合わない方のために新設しました。平日19:00から行います。お仕事帰りの新たな楽しみです。(2024.1)      

 

 

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【フリチラリアについて】

舌を噛みそうな名前のフリチラリアは、ラテン語でサイコロを入れる箱というほどの意味で、碁盤の目模様の花弁からそう呼ばれています。西アジア原産で16世紀にヨーロッパへ伝わり、その後、オランダ花卉画の名脇役となりました。

 

その種類も豊富で、この写真のメレアグリスという品種が多く出回っています。花と葉のバランスが良く、単一で飾っても十分美しいのですが、この季節はヒヤシンスと合わせてみたいもの。オリエンタル風な仕上がりとなるでしょう。

 

ちなみに、開花時期も原産地も異なるバイモユリやクロユリもフリチラリアの仲間です。模様のある花弁や下向きに咲くベル状の地味な花姿、そして鱗茎を食用にすることなど、その特徴には類似点が多くあります。(2024.2)

 

 

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【アソートについて】

先月から、ご自宅で花を楽しむ仕掛けとして、花材をあらかじめ組み合わせたり、取り揃えて販売するアソートを始めました。ブーケとの違いは、束ねていないことで、2種類のアソートをご用意しております。

 

ひとつは、「四月の花器、花材アソート」といって、ツェツェの四月の花器にそのまますぐに飾っていただけるものです。とはいえ、花材はバランスよく切り揃えてのお渡しですから、他の器でも楽しむことができます。 

 

もうひとつは、レッスンの仕入れに合わせて手配するものです。たとえば、今月の「チューリップ、アソート」の場合、風変わりなものや希少性の高いものなど、様々な品種のチューリップに出会うことができます。アソートならではの楽しみ方です。(2024.3)

 

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【スズランの器付ブーケ】

申すまでもなく、5月1日はスズランの日といって、この日にスズランを手にした人には幸運が訪れるという伝承があります。何でもフランスでは、誰でもスズランを売っても良い日だそうで、確かに、昔観た映画の中で、そんな場面があったかもしれません。

 

また、スズランにはもうひとつ特筆すべきことがあって、その釣鐘状の白い花数に決まりがなく、中でも、13個はより幸せだといいます。長年、この花を束ねる度に数えておりますが、確かに、100本のうち、2、3本見つかれば良い方でしょうか。

 

さて、今年のスズランのブーケは4月30日(火)と5月1日(水)、店頭に並びます。写真の器付は¥5,500、小さい束なら¥1,500です。今年も皆さんに幸運が訪れますように。(2024.4)

 

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【グラミネについて】

グラミネとはフランス語で草というほどの意味で訳されますが、もっとわかりやすくいえば、イネ科植物の総称です。たとえば、花屋で売られているパニカム、ホルデューム、ワイルドオーツ、ススキなどはこれにあたります。

 

また最近では、この写真のように、名前がついていないグラミネも花市場で出回るようになりました。近年、シャンペトルと呼ばれる田園風のブーケが注目を浴びるようになり、多くの花屋がそういったブーケを作り始めたことが要因なのかもしれません。

 

この傾向、私にとっては嬉しいことで、これからの季節、ブーケ作りがより楽しくなるのいうまでもありません。早速、写真のグラミネは今月のレッスンで使ってみるつもりです。乞うご期待。(2024.5)

 

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【夏至のブーケ】

 

聖ヨハネの誕生を祝う夏至祭にちなんで作る夏至のブーケは、夏至の頃に摘み取られた、太陽の光をたっぷり浴びた草花を用います。聖ヨハネの草とも呼ばれ、特別な自然の力が備わっていると信じられているからです。

 

その代表がセントジョーンズワートで、日本では西洋オトギリソウといいます。古代ギリシアから知られる憂鬱を解放してくれる薬草です。花屋で見かけるヒペリカムやビヨウヤナギは近縁種で、どちらも葉が異なりますが、花や実は似ています。

 

写真は、アネモネ・バージニアナ、カモミール、ノコギリソウなど、聖ヨハネの草による夏至のブーケです。その作り方は動画で公開しておりますが、今月は、夏至の日のナイトレッスンで、実演してお伝えいたします。(2024.6)

 

 

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【ラベンダーのサシェ】

 

北海道中富良野町で収穫されたラベンダーの蕾を丁寧に摘み取って、手のひらほどの綿紗袋に、50gを詰め込んだのがラベンダーのサシェです。これは昨年から作り始めたもので、ラベンダーのタンバルの副産物でもあります。

 

サシェとはフランス語で匂い袋というほどの意味です。殺菌や虫除けとして実用性があるばかりか、クローゼットや引き出し、鞄の中に入れたり、洗い立てのタオルに挟んだりして、心を豊かにする知恵でもあることはいうまでもありません。

 

ラベンダーのサシェはおひとつ、1,100円。今月の下旬から店頭に並びます。ちなみに、ラベンダーの香りには安眠効果が期待できるそうです。昨年、寝苦しい真夏の夜に、このサシェを枕元に置いて何度助けられたことか。(2024.7)

 

 

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【ブーケ・イスパハン】

2018年からレッスンのプログラムに登場したブーケ・イスパハンは、この写真のように、丸弁ロゼット咲きのバラ、ショコラ・ロマンティカを主役に、フランボワーズ、ブラックベリー、ミントを組み合わせた8月のブーケです。

 

イスパハンとは、世界遺産イマーム広場があるイラン中部の都市名で、古代ペルシアの時代からバラの街として知られています。19世紀にはロマン派の作曲家、ガブリエル・フォーレによって歌曲「イスパハンのバラ」が作られたほどです。

 

また、イスパハンという品種のオールドローズがあって、パティシエのピエール・エルメが、ローズシロップを使ったマカロンにイスパハンと名付けたのも、このオールドローズの品種名からだったと記憶しています。(2024.8)

 

 

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 【ナイトレッスンについて】

ご要望が多かった日没後の夜7時から行なっているナイトレッスンは、今年から加わったプログラムで、かれこれ半年が過ぎました。主に月に一度、金曜日に行なっていて、お仕事帰りのご参加が多い印象です。

 

この写真が示す通り、自然光が差す昼間のレッスンとは趣が変わり、照らし出された花や葉の輪郭が浮かび上がる店内は舞台装置の雰囲気を醸し出します。夜のミニ大通は静寂な森の佇まいとなりますから、よりブーケ作りに集中できるかもしれません。

 

ナイトレッスンはお一人様6,600円から。先月はヒマワリ、今月はダリア、来月はバラという具合に、特にテーマは設けず、月替わりで旬の花を束ねることにしております。(2024.9)

 

 

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【近ごろのダリア】

ちょうど今から10年前のこの欄で、さまざまな品種のダリアが花屋に並ぶようになって驚いていることを述べました。その後はといえば、生産者も増えて多種多様なダリアが秋の市場を彩る状況で、名前を覚るのも大変です。

 

ただこれは、ブーケを作る上でとても良い傾向だとも思っています。冬のラナンキュラス、春のシャクヤク、夏のバラ、秋のダリアというように、その花の種類が増えるということは、季節の主役がはっきりするからです。また、束ねる楽しみも当然広がってきます。

 

たとえば、この写真のように、淡い色合い同士で組み合わせることも近ごろは簡単に出来るようになりました。この日は、ルル、シルキー、深山吹雪の3種類。とはいえ、ダリアを束ねる難しさは一向に変わりません。(2024.10) 

 

 

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【マジックアマリリス】

今からちょうど2年前、お客様からのお問い合わせで初めて知ったのが、マジックアマリリスです。何でも特別に選別された球根で、室温が18度以上あれば水なしで成長して開花するといいます。オランダから届いたその球根は拳ほどの大きさがあるではありませんか。

 

錬金術師に騙された気分で、昨年一昨年と販売したところ、全てのお客様から何もせずに開花したという声をいただき一安心。その名の通り、魔術的に手をかざす程度で、入荷してから6週間ほど経つと咲いてくるというけです。

 

ひとつの球根から2本順に茎が出ますから、咲いてからも長く楽しめることでありましょう。今年も11月下旬頃から販売予定で、取り扱う花の色は白になります。場合によっては八重咲も入荷するかもしれません。(2024.11)

 

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【稲穂飾り】

稲穂は、新年の始まりに家々を訪れる歳神様を迎える目印として飾られる縁起物です。豊穣や家の守護を祈る意味があり、場所を示す役割も果たします。

 

そこで、この秋に思いついたのがこの稲穂飾りです。既存の松飾りと同様に茎を藁で覆っています。紫稲も加えた2種類は、新たなお正月飾りといったところ。

おひとつ、800円。

 

さて、お陰様でミニ大通に根を付けて17年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

えっ、このコラムの冒頭のくだりは、AIによるものでしょうって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2024.12)

 

 

2023-05-01 00:00:00

ミニ大通の並木から 2023

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【ラナンキュラスをコルシカ風に】

 

アプリコット色のラナンキュラスに、緑色のヘレボラス、それにオリーブの枝葉を加えれば、ラナンキュラスのコルシカ風の完成です。このブーケは花材が揃う期間が限られているため、2月のレッスンによく登場します。

 

コルシカ風とは緑色のヘレボラスとオリーブをブーケに加えた時の勝手な呼称です。どちらもコルシカ島に自生しているのでそう名付けました。もっとも、近年使っている品種のフェチダスは厳密にいえばコルシカ島原産でないというのはここだけの話。

 

ちなみに、このコルシカ風に限らず、19世紀風、田舎風、バロック風と、レッスンのタイトルは時に料理のメニューのような表記にしています。これは、ブーケ作りにはレシピがあって、料理に近いものと考えているからです。(2023.2)

 

 

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【雪どけのリース】

 

笹葉のユーカリを土台に差し込み、オリーブとミモザを少し加えて、仕上げにハゴロモジャスミンとアイビーを絡めれば、雪どけのリースの完成です。春の日差しを浴びれば、複雑な緑の中に僅かな黄色が感じられます。

 

それは、雪どけの中から顔を出した草木が、意外にも色鮮やかだったり、福寿草の小さな黄色に気がつくあの嬉しい感覚です。もっとも、春のリースはなかなか閃かずにおりましたので、この新作に実は心が躍っております。

 

といいますのも、これはミモザが僅かしか入荷できなかった時、店内にあるもので偶然出来上がったリースだからです。 ChatGPTに「春のリースは?」と訊いたところで、こんな組み合わせはまだまだ教えてくれません。(2023.3)

 

 

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【母の日に贈るブーケ】

 

今年の母の日は5月14日と、最も遅い日程で、ちょうど初夏の枝葉や草花が多く出回っている時期です。たとえば、この写真は昨年同日のブーケですが、ロゼット咲きのバラにリョウブとオルラヤ、スノーボールで仕上げています。

 

以前この欄で母の日に作るブーケについて「貰って嬉しくなるようなものに仕上げられるようになりました」と述べたように、この優しいロココ調な色合いは母の日に贈るブーケとしてぴったりでありましょう。

 

ちなみに、この組み合わせは作りやすさもあって、「ブーケ・マリアローザ」というタイトルで5月のレッスンでも行います。自分で作って手渡すことが出来るなら、これほど素晴らしい母の日に贈るブーケはありません。(2023.4)

 

 

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【ヒメリョウブについて】

 

ヒメリョウブは別名がアメリカズイナというように、アメリカ原産の花木です。そのクリーム色を帯びた穂状花序は、ブーケのアクセントとなるばかりでなく、私たちに初夏の始まりを告げてくれます。

 

この写真のように、シャクヤクとの相性は抜群です。花の重さを、そのしなる枝がしっかりと支えてくれます。ブーケ作りは色合わせや季節感の他に作りやすさも重要ですから、この枝葉は5月の花屋に欠かせない存在でありましょう。

 

ちなみに、ヒメには小さいという意味があって、日本のリョウブより小さいのでそう呼ばれます。しかしながら、これらは全く別の植物であることを最近知りました。リンゴとヒメリンゴのような関係ではなかったわけです。(2023.5)

 

 

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【ドウダンツツジについて】

これからの季節、ホテルなどの広い空間で見かけるドウダンツツジは、涼しげな新緑が私たちを爽やかな気分にさせてくれます。また、暑い場所でも花器の水が汚れにくく、長持ちすることもあって、ご自宅に飾る方も多いかもしれません。

 

しかしながら、購入する時期には注意が必要です。葉が柔らかい春先は萎れやすく、秋の美しい紅葉もすぐに枯れてしまいます。ぜひ、良質なものが出回る5月中旬から7月上旬にかけてお買い求めください。

 

それと、もう一つ気をつけたいことがあります。この枝を花束にはしないということです。切り分けて細かな葉をまとめてしまいますと、その魅力が台無しになってしまいます。潔くそのまま飾って楽しみたいものです。(2023.6)

 

 

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【麦のタンバル】

フランスの花屋に古くから伝わる技法の一つであるタンバルは、円筒形の器に植物を覆って花器にする工夫です。ハランやマグノリアの葉で仕上げるのが定番ですが、時おり変化をつけて楽しむことがあります。

 

たとえば、今年初めて作ったのが麦のタンバルです。パン屋の周年祝いに合わせて3種類の麦でガラス器を包みました。これにブーケを飾りますと、麦の素朴な美しさが、白いバラをより華やかに引き立たせてくれるのはいうまでもありません。

 

写真左、ブーケとのセットは7,700円から。写真右、麦のタンバルはおひとつ、3,300円。今月はエピ・ド・ブレといった麦にまつわる行事もありますから、パン屋に限らず夏の贈り物としてもぴったりでありましょう。(2023.7)

 

 

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 【市場レッスン】

 「仕入れ」「水揚げ」「ブーケ作り」といった3つの内容から成り立つ市場レッスンはこの夏から加わったプログラムです。「仕入れ」は市場に行って、作るブーケの花材を、その秘訣を聞きながらご自身で選んでいただきます。考えるレッスンとも呼べましょう。

 

続いて、店に戻って「水揚げ」を、その仕方を教わりながら行います。これは知るレッスンという位置づけです。そして、花材を最初からご自身で準備した「ブーケ作り」は、これまでのレッスン以上に、学ぶレッスンとなるかもしれません。

 

市場レッスンはお一人様、60,500円。毎週金曜日の朝6時から始まる、ブーケ作りにおいて最も大切な、束ねない時間からの330分。きっと花屋の気分が味わえます。(2023.8) 

 

 

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【ザクロのリース】

 華道などの需要もあって、この時期に市場で時々見かけるのが果実のついたザクロです。枝ぶりにもよりますが、ずっしりと重たい果実は、ブーケにするには少し難しいので、数年前からはこのようにリースにして楽しむことにしています。

 

作り方は他のリースと同様で、環状にしたサンキライの枝に、小分けしたザクロの枝を絡めていけば完成です。この写真は出来立てですが、乾燥しても葉色が少しくすむ程度で、その雰囲気は何ら変わりません。

 

ちなみに、ザクロは北海道では育たないので、私にとってこの果実はどこか異国情緒を感じます。なにしろ、花屋になるまで、セルゲイ・パラージャノフの映画の中でしかザクロを知らなかったわけですから。(2023.9)

 

 

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 【スレッズとレッスン日誌】

新しいSNS、スレッズで時おり投稿しているのがレッスン日誌です。その名の通り、レッスンで使った花材と出来上がりの写真を添付して、その意図や作り方についてこのコラムほどの長さで述べています。

 

なぜスレッズなのかといえば、このSNSにはミニブログの要素があって、文書と写真が見やすいプラットフォームとなっているからです。スマートフォンからも読みやすく即時性もありますから、花屋にとって、これはとても適している気がしました。

 

もっとも、インスタグラムもレッスンの内容をお知らせする目的で8年前に始めたわけですが、写真共有アプリゆえ文章との親和性が高くはありません。スレッズの登場で、お伝えしたいことがより充実したわけです。(2023.10)

 

 

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【スキミアについて】

日本原産のスキミアはヨーロッパで品種改良された園芸品種です。晩秋から冬に咲き、この写真のように蕾が緑色の他に赤色があります。欧米ではクリスマスの花としても親しまれていて、花屋に並ぶものの多くはオランダ産です。

 

何でも、ロンドンの花屋に勤めていたお客様の話によれば、イギリスのクリスマスはポインセチアではなくこのスキミアを飾るのが一般的だそうで、この時期の花屋はスキミアの鉢植えだらけになるというではありませんか。

 

そういえば、ミニ大通に面したマンションの花壇には立派なスキミアが植えられていて、雪の中でも堂々と咲いていますし、店から車で1時間ほどの野幌森林公園には野生のものが見つかります。スキミアは冬の身近な花なのです。(2023.11) 

 

 

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12月【ガレット・デ・ロワと3つのブーケ】 

エピファニーにちなんだこのレッスンは、小さな3つのブーケを作って卓上に並べて飾り、ガレット・デ・ロワを楽しむというものです。目覚めを意味するアーモンド菓子を味わいながら、3人の王様にちなんだ植物とともに、1年の幸運を占います。

 

もっとも、切り分けたフェーブが当たらなかったとしても、私自身はこうやって、レッスンを続けられることが既に幸運であることはいうまでもありません。

 

さて、お陰様でミニ大通に根を付けて16年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願いいたします。 

 

えっ、今頃は韓国にいるはずなのに、何故か日本で呑気にコラムを書いているって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2023.12) 

2022-12-15 00:00:00

ミニ大通の並木から 2022

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【スペシャルレッスンについて】

 

「時にはたくさん束ねてみよう」という事で昨年から定期的に始まったのが、スペシャルレッスンです。たとえば、春なら色とりどりのチューリップや何種類かのクリスマスローズを。初夏ならシャクヤクが外せません。

 

また、夏になればバラをカラフルに仕上げたり、秋にはダリアやアジサイ、冬ならアネモネといった具合です。場合によっては、器とセットで仕上げるのも、このレッスンの醍醐味でありましょう。

 

もっとも、スペシャルと聞けば何だか難しいと思われがちですが、スパイラルブーケは、ある程度の花の数があった方が作りやすいので、慣れてしまえばこちらの方が簡単です。そして、出来上がった時の気分もスペシャルになるのはいうまでもありません。(2022.2)

 

 

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【近ごろのラナンキュラス】

 

近ごろのラナンキュラスは花姿や色も豊富で、数年前とは比べ物にならないくらい、日本で多くの品種が作出されています。とりわけ、私が好んでいる新しい種類ほど、その名前がフランスの自治体や景勝地にちなんでいることが多く、何だか興味深い。

 

ロシェル、セルベール、モルヴァン、マイエンヌ、ロンシャン、オルレアン、グルノーブル、アンディーブ、ルルド、ラマノン、ボーヌ、モンタンヴェールなどがあり、エシレにいたっては覚えやすいバター色の品種だったりします。

 

ちなみに、写真のものはアルプスの麓にある名高いスキーリゾート地の名前、クールシュヴェルという品種で、小ぶりな蕾とスノーボールとの相性の良さは「ジス・イズ・ラナンキュラス!」と叫びたくなる逸品です。(2022.3)

 

 

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【花の咲くところ】

 

 

シリアの首都ダマスカスで自生していた香り良いバラをダマスクローズと呼ぶように、私たちに馴染み深い花は世界の思わぬところで咲いています。

 

 

たとえば、シクラメンが国花であるパレスチナ。アネモネなど聖書やギリシア神話に登場する植物は乾いたこの土地が原産です。よく聞くガザ地区にはヒナゲシが群生しています。

 

 

それから、赤いチューリップが国花であるアフガニスタン。野生のライラックやジャスミンがあることはあまり知られていないでしょうか。

 

 

そして、この写真のブーケで束ねているヒマワリとビバーナムが国花のウクライナ。国旗の黄色は小麦を表し、映画「ひまわり」の舞台となったことはいうまでもありません。(2022.4)

 

 

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【ブーケ・ロンについて】

 

ブーケ・ロンとはフランス語で「丸い花束」というほどの意味です。今から50年ほど前、パリの花屋のジョルジュ・フランソワやアラン・シャンフェランニが始めた茎をスパイラル状に束ねて作るブーケは、今日、私たちにも身近な存在です。

 

「それまでのものは綺麗ではなかったから」と考案者がいうように、この丸い形は、どんな花瓶にも飾りやすく、どこから見ても美しく、どこにでも運びやすいのはいうまでもありません。

 

ちなみに、ブーケ・ロンの派生として、野菜を用いるものや、花を種類ごとにまとめるグルーピング、クリスチャン・トルチュが禾本科植物なんかを加えて田舎風に発展させたブーケ・シャンペトルなどがあります。(2022.5)

 

 

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【父の日のブーケ】

 

黄色いバラを父の日に贈る慣習は日本特有ですが、これには理由があります。今から40年ほど前、日本の経済団体が父の日の販促として、黄色をテーマカラーに制定しました。

 

そこで、当時の花屋はそのキャンペーンに乗じて、黄色いバラをこの機会に売り出しては、と画策します。なぜなら、黄色いバラの花言葉は「嫉妬」で、贈り物としてはとかく敬遠されていたからです。ただ残念なことに、現状では母の日のカーネーションほど定着はしていないかもしれません。

 

とはいえ、6月の第3日曜日はバラが旬を迎える頃で、相性の良いビバーナムも出回る季節です。ご覧のように、他の色のバラが妬むほど、黄色いバラのブーケが美しく仕上がるのはいうまでもありません。(2022.6)

 

 

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【エピ・ド・ブレ】

 

エピ・ド・ブレとは、フランス語で麦の花穂というほどの意味で、一年中お金と幸運に恵まれるようにと、麦を7月7日7時に7本刈り取って家の中に飾る習慣です。聖ヨハネの麦とも呼ばれるのは、この行事も夏至に関係しているからでありましょう。

 

そこで、このエピソードに由来して、7月は麦をご用意しています。7本束、ブーケ、そしてリースと、どんな形であれ、その黄金色は部屋はもとより、私たちの心も明るく照らしてくれるのはいうまでもありません。

 

ちなみに、麦おばさん、コルンムーメが現れるのもちょうどこの時期です。畑を守るべく、波のようにうねりざわめきながら、夏の美しい麦畑を駆け抜けていきます。(2022.7)

 

 

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【白磁の花器ふたたび】

 

一見すれば、アンティークとか、古物とか、アノニマスといった言葉を連想させる、内藤美弥子さんが作る白磁の花器には、どこか控えめで、誰かに見つけてもらうのを待っているような佇まいがあります。

 

それは作品でありながらも親しみやすく、かといって商品と呼ぶのも似つかわしくありません。なぜなら、以前この欄でご紹介したように、オリジナリティ溢れる製作技法が、この唯一無二の花器を生み出しているからでありましょう。

 

4年半振りとなるこの夏の展示では、24点の新作が並びます。特筆すべきは、全てオーバル型だということで、縦横でその表情が変わり、置き場所を選びません。これもまた、内藤さんの優れたデザインでもあります。(2022.8)

 

 

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【リリオペについて】

 

ギリシア神話に登場する水の妖精の名前がついたリリオペは、草丈が膝下ほどの常緑多年草で、懸垂する剣状の細葉が特徴です。夏から秋には花も咲きますが、花屋に並ぶのはもっぱら葉のみで、色は写真の濃緑の他に斑入りもあります。

 

パリの花屋、カトリーヌ・ミュレーはこの葉を紐のように結んで使い、クリスチャン・トルチュはギリシア神話に倣って、リリオペの息子であるスイセンと束ねることで、愛情豊かな母子のブーケに仕上げました。

 

ちなみに、花市場でリリオペはミスカンサスというススキの学名で流通しています。輸入先のスリランカではそう呼んでいるみたいですが、どう考えても、ススキとは別の植物であることはいうまでもありません。(2022.9)

 

 

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【秋色のアジサイ】

 

秋色のアジサイとは、夏に咲いたアジサイの色が変化して、少し落ち着いた色合いになった状態のことを指します。むろん、気象条件によってその変化は異なるわけですが、この秋色のために、オランダでは様々なアジサイの品種改良が行われてきました。

 

といいますのも、ヨーロッパでは、アジサイが夏よりも秋に楽しむ花として人気が高いからです。美しく変化した低い彩度は、色づいた秋の実や葉と喜んで混ざり合います。ドライフラワーとしてではなく、ブーケとしての楽しみ方です。

 

秋色のアジサイはまた、雪国に住む私たちにとっては、近づく冬のサインでもあります。この花のレッスンを終える頃には、コートが手放せなくなるのはいうまでもありません。(2022.10)

 

 

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【冬はアネモネ】

 

風が良く吹く早春に咲くことから、ギリシア語で風を意味するアネモネですが、この花は春よりも冬が似合う気がしています。花首をまとうパセリ状の葉がまるで襟巻きをしているようで、何だか、冷たい北風をしのいでいるではありませんか。

 

そういえば、ルノワールは多くの花の絵を残していて、晩年までアネモネを描き続けていました。しかし、彼の描くアネモネからは、春の暖かな光というよりは、冬の静寂な空気みたいなものが常に感じられます。

 

また、ゴダールもこの花に冬の季節を見ていたに違いありません。映画「女は女である」では、11月10日の暦がクローズアップされる場面がありますが、その部屋にはアネモネが活けられていたのも偶然ではないでしょう。 (2022.11)

 

 

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【マジックアマリリス】

 

その説明書によれば、水も土も要らず、35日ほどで咲くというのが、オランダから届いた新品種のアマリリスです。奇術師マギーが拵えたかのように、マジックアマリリスと呼ばれています。

 

もとより、お客様からその存在を教えていただき、初めて仕入れたこの球根。一体どう咲くのか興味津々、新年の贈り物としても喜ばれそうです。

 

さて、お陰様でミニ大通に根を付けて15年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

えっ、COVIT-19の抗原検査でネガティブが出たことに、その意味を勘違いして、もう一度検査したでしょって?まあ、そんなことはいいこなしよ。(2022.12)