2017-12-01 11:30:00

ミニ大通の並木から(20017.2〜20017.12)

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【私の花器コレクション・1】

 

パリの花屋、クリスチャン・トルチュのために、イギリスのデザイナー、ジェームス・ヒーリーが1995年に発表した花器が「カナル」です。その名の通り、特徴的な長さと、幅の狭さは運河を連想させます。伝統的な屋根葺きの技術を応用した、この現代の亜鉛バケツは扱いが容易で、私のお気に入り。

 

サイズも様々あって、縦型のものはまるで、キューブリックの名高い映画「2001年宇宙の旅」に出てくるモノリスのような存在感があります。もっとも、この写真の、私が20年ほど愛用しているものは、お客様からのパリ土産で、横型の一番小さいサイズなのですが、今でも古さを感じさせません。

 

結局、良い花器というのは、質感とデザインに優れている事は申すまでもなく、長く使い続けられる事なのでありましょう。ちなみに、この花器をデザインしたヒーリーはその後、香水ブランドを立ち上げ、現在は香水デザイナーとして日本でもお馴染みです。(2017.2)

 

 

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【私の花器コレクション・2】

 

この21本の試験管が連なった「四月の花器」は、パリを拠点に活動する二人組、ツェツェ・アソシエのデビュー作であり、代表作です。「四月」の名の通り、花や枝、葉を自由気ままに飾るだけで、蝶々が舞うような雰囲気に仕上がります。

 

皆さんもご記憶にあるように、クリスチャン・トルチュがカンヌ映画祭の晩餐会で使用した事で、この花器は世界中で知られるようになったわけですが、なるほど、飾る場所を選ばない、というのもこの花器の魅力でありましょう。

 

写真のものは、もう20年以上使っているもので、メッキが剥がれて錆ついてますが、その経年劣化は味わい深く、花をより生き生き見せてくれています。それは、一つの花器を長く愛用してきた事へのご褒美なのかもしれません。(2017.3)

 

 

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【私の花器コレクション・3】

 

フィンランドの建築家、アルヴァ・アールトが1937年のパリ万国博の為にデザインしたガラス花器が、この「サヴォイ・ベース」です。波を意味するアールトの名のとおりのその曲線は、80年経っても古さを感じさせません。

 

MOMAのパーマネントコレクションとして、現在でも、製造販売が続いていて、色や大きさも多様にあります。サイズを問わず、不規則な四つの窪みに花がきっちりと収まりますから、飾りやすいというのもこの花器のもう一つの魅力です。

 

ちなみに、これまで紹介した花器は模倣品が多く出回っているのに対して、このサヴォイ・べースの模倣品はみかけない気がします。きっと、あまりにも世界で有名なフラワーベースだからなのでしょう。(2017.4)

 

 

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【私の花器コレクション・4】

 

今から20年ほど前、当時の店近くのインテリアショップで購入したのがこのアノニマスな花器です。ちょうどセール品で、残っていた二つを衝動買いしましたからとても安価だっと思います。

 

高さが30センチ、素材はテラコッタでラフに色が塗られていますが、その自然な仕上がりは飾る場所や花を選びません。また、司教の僧服の袖のごとく下が膨らんでいて、こういった形は花を飾りやすいと言う事を知ったのもこの花器と出会ったからです。

 

旬の枝や花を仕入れた時、少し背の高いブーケを束ねた時、このアノニマスな花器は今でも重宝しています。時おり、譲って欲しいといわれてはお断りしておりますが、手に入るのであれば販売したいと思うほど使いやすいのです。(2017.5)

 

 

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【私の花器コレクション・5】

 

西洋料理にナイフとフォークを広め、フランス菓子にマカロンを伝えたのは、その昔、フィレンツェを支配したイタリアの名門貴族メディチ家ですが、この写真にあるような花器を庭にもたらしたのもメディチ家です。メディチ花器と呼ばれています。

 

何でも、その形は保有していた古代ギリシャの大理石製花器に由来しているようで、王妃マリー・デ・メディチが造成したパリのリュクサンブール公園ではお馴染みの花器です。この公園を舞台にした、エリック・ロメールの映画「パリのランデブー」でも美しく登場していました。

 

現在、メディチ花器は多くの複製品が作られていて、私も白い鉄製のものを使っています。たしかに、その古典過ぎるデザインは場所を選びますが、店内に庭の雰囲気を醸し出す花器として、ロメール好きとして、これは持っておきたい花器なのです。(2017.6)

 

 

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【私の花器コレクション・6】

 

三つの穴が空いた、ラグビーボールを一回り小さくしたほどの吹きガラスに、花や枝葉を挿して天井から吊り下げて使う「なまけものの花器」は「四月の花器」と同じ、ツェツェ・アソシエがデザインしたものです。

 

その名は、生涯のほとんどを樹にぶら下がって過ごす動物ナマケモノに由来します。ツェツェによれば、この花器はナマケモノのように葉っぱが大好きなようで、なるほど、緑を主体に少し大ぶりに飾りますと、小さな空間に森の佇まいが出来上がるというわけです。

 

今から10年前、現在の場所に移る時、真っ先に思いついたのが、作業テーブルの上にこの花器を吊り下げる事でした。以来、「なまけものの花器」は店の一番高い場所から、お客様と私を見守っています。(2017.7)

 

 

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【私の花器コレクション・7】

 

フランスのセラミスト、ジョルジュ・ジューヴを知るきっかけにもなったこの黒いセラミックの花器は、山本アッシュさんの作品で、2011年に開かれた彼の個展で購入しました。たしか作品名は「marumero」だったと記憶しています。

 

もっとも、一般に黒い花器というのは存在感が強すぎる事から、花屋はとかく敬遠するものですが、この金属のような鈍い光と重量感、そして、完全でありながらも不完全でどこか有機的な形をしたこの花器と出会った時、そんな迷いは一瞬で無くなりました。

 

また、口径が四センチ、高さが三十二センチという花器の大きさは使いやすく魅力的で、バラ、アジサイ、ダリア、アマリリス、ユーチャリスなどを現代的に美しく飾る事ができます。(2017.8)

 

 

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【私の花器コレクション・8】

 

このメディチ花器はこの夏、古くからのお客様から譲っていただいた私の最新コレクションです。高さが55センチ、幅が35センチ、大人一人がやっと持てる重さで、人工大理石で出来ています。

 

ご覧のように、直径が手のひらより大きいアジサイもたっぷりと飾れる大きさで、嫌味のないレリーフ模様に使い込まれた質感が味わい深く素晴らしい限りです。今では店内に古くからあったかのごとく、すっかり馴染んでおります。

 

これからが旬の、大振りのダリアや実り豊かな枝葉などを飾る上で重宝するのは間違いありません。また、同じものがもう一つありますから、店の入口に常緑樹を対に飾ってみるのも素敵でありましょう。大切に使い続けたいと思います。(2017.9)

 

 

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10月【冬仕度のリース】

 

リースは乾燥した後も季節を問わず飾って楽しむ事ができますが、ミモザは早春、トケイソウは初夏、といった具合に、その種類によって作る時季が限られます。この新作のリースもまた、深まる秋から雪が降る頃の限定品です。

 

春に植えて程よく成長した2種類の白妙菊に、オーストラリアから届いたユーカリの蕾付き枝葉を、環状にしたサンキライの土台に絡めています。冬の始まりを思わせる美しい銀葉から冬支度のリースと名付けました。

 

写真のものは直径約50センチで、おひとつ、¥10,800。直径約25センチは、おひとつ、¥4,320。秋冬を通して楽しむ事ができますが、もとより、クリスマスの撮影用として誕生したものですから、クリスマスのリースとして飾っても素敵です。(2017.10)

 

 

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【モミのツリー】

 

アンデルセンの童話「モミの木」にあるように、西洋でクリスマスといえば、森から切り出したモミの木を室内に飾ることが一般的ですが、最近は写真のようなモミのツリーというのも見

かけるようになりました。

 

まるでドイツの北バイエルン地方に伝わる精霊フィングストを思い出すこの緑の飾りは、生命力を表す新鮮なモミの枝葉を逆さにしながら、木の棒を軸にピラミッド状に麻紐を用いて束ねて仕上げていきます。すなわち、これもブーケの一種というわけです。

 

モミのツリーは高さが40センチほどでおひとつ、¥7,560。もっとも、中世からクリスマスツリーはキリスト教における三位一体の象徴でもりますから、このように三角形のもの飾るという事が重要になります。(2017.11)

 

 

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【真鍮のトレー】

 

年末の定番品、ヒヤシンスの鉢植えと球根型のろうそくに適する鉢皿や燭台として出来上がったのがこの真鍮のトレーです。

 

製作を依頼したのは真鍮の専門家、ヒウラユカさんで、どれひとつとして同じものがないのも魅力的。素敵に仕上げていただきました。スクエア形がおひとつ、¥2,160から。

遊び心あるドーナツ形はおひとつ¥6,480。

 

さて、お蔭様でミニ大通りに根を付けて10年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

えっ、このトレー以外にある10周年記念のオリジナル商品の発表は来年になったんでしょうって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2017.12)

2016-12-01 11:30:00

ミニ大通の並木から(20016.2〜20016.12)

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【ミモザのスワッグ】

 

どういうものか、私はミモザが文句なしに大好きで、春が近づくこの時期になりますと、迷う事なく手に取ってしまいます。思いつくままに、その理由をあげるとするならば、まず、ヤドリギやスズランなどがそうであるように、市場に並ぶのが一瞬で、旬をはっきりと感じる花だからです。

 

それからもう一つ、銀色がかった葉と鮮やかな金色の房とのコントラストに、心が躍ってしまいます。前にも述べましたが、雪景色の中でしばらく過ごしておりますと、この花色がまるで南仏の太陽のごとく、眩しく見えるというわけです。

 

そんな北国に、このミモザのスワッグは、いわば春を告げる壁飾り。お互い大木で、原産地も同じオーストラリアであるユーカリと螺旋状に束ねて仕上がります。長さは50センチほどで、おひとつ、¥5,400。リースとはまた違った楽しみ方でもありましょう。(2016.2)

 

 

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【私のブーケ作り】

 

今からちょうど25年前、ブーケ作りを始めた頃は、形やデザインに重きを置いておりましたが、多分、レッスンがきっかけだと思うのですが、いつの頃からか、料理を作るように、束ねる時は手際よく、準備はしっかりと、季節感や素材の組み合わせを意識するようになりました。

 

考えてみれば、旬を楽しむブーケも料理も、味わえば、そのもの自体は無くなってしまいますが、心には残るものなのです。料理は素材65%、調理25%、感性10%、といったのは料理人のアラン・デュカスですが、私が作りたいブーケにも、この言葉がぴたりと一致します。

 

たとえば、写真のブーケの場合。素材は春の花と葉と枝で、調理、すなわち技術はスパイラルに束ねる事です。そして、感性は季節を感じるアクセントを意味します。この場合、芽吹いたシモツケの枝と若草色のスノーボールがあるからこそ、春の訪れが感じられるブーケが作れるわけです。(2016.3)

 

 

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【アジアンタムについて】

 

ギリシア語で「乾いた」というほどの意味に由来するアジアンタムは、春に鉢植えとして出回りますから、この時期には欠かせない存在です。花飾りとしてはもちろんの事、この写真のように、ブーケに加えますと、繊細で明るい緑色が、長い冬から抜け出した私たちの気分を明るくしてくれます。

 

もっとも、プリニウスの博物誌によれば、アジアンタムは水中に投げ入れても常にその葉は乾いたままだといっているうように、このシダ植物は、切って使いますと数時間で枯れてしまいます。したがって、少し手間ではありますが、必ず根を付けたままで束ねることが欠かせません。

 

そこで、アジアンタムの鉢植えを仕入れたら、まず鉢から抜いて、土をほぐして水の汚れがなくなるまで根洗いを行います。毎年、この下準備が始まりますと、スズランの日や母の日が近づいてきた事を実感するわけです。(2016.4)

 

 

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【キソケイについて】

 

漢字で黄素馨と書き、英語でイエロージャスミンと呼ばれるキソケイは、ジャスミンの仲間でヒマラヤが原産です。仄かな香りがする常緑の低木として、花市場では、春の終わりから夏に出回りますが、5月頃には、花が咲いたものが入荷して、花屋を喜ばせます。

 

この写真のように、その小さな黄色は、華やかで優しい雰囲気のバラとの相性が良く、淡いピンク色を引き立ててくれますし、旬のシャクヤクやスイートピーと束ねても素敵です。また、手に入りやすく、使いやすい花材でもあります。

 

キソケイといえば、数年前の5月下旬、銀閣寺を目指し、傘をさして哲学の道を歩いていたところ、覚えのある香りが漂ってきました。視線を横にすると、川面に垂れたこの黄色が、雨の京都を訪れた私を迎えてくれたのです。それは私の住む札幌では知る事が出来ない、初夏の美しい光景でした。(2016.5)

 

 

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【アネモネあれこれ】

 

アネモネといえば、冬の花屋に並ぶ、赤、青、紫、白といった色の花を思い浮かべますが、実のところ、アネモネにはあれこれ仲間がいて、四季を通して見る事ができます。

 

たとえば、その黄色で春を知らせる福寿草や、ギリシア神話に美少年として登場する赤花のアドニス属も、名前は違えどアネモネです。また、夏から秋の庭を飾るヴァージニアや、秋明菊もその学名はアネモネであることはあまり知られておりません。確かに、葉の感じは異なり、背丈のある花姿ではありますが、花だけを注目しますと、アネモネである事に納得致します。

 

そして、この写真のアネモネ・カナデンシス。カナデンシスとはカナダ原産というほどの意味で、初夏に咲く可憐なアネモネになります。夏至が近づく頃、森から摘み取ったように、小さなブーケにして楽しむのが私のお気に入りです。(2016.6)

 

 

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【ローズマリーについて】

 

ラテン語で「海のしずく」というほどの意味があるように、ローズマリーは波の音が聞こえる範囲で良く育つ常緑の小低木です。プリニウスの時代には既に冠婚葬祭で用いられていたようですから、この植物は昔から私たちにとって身近な存在なのかもしれません。

 

たとえば現代でも、薬草として民間療法や料理に使う事もありますし、香水の起源でもあるハンガリー水といえば、この植物の蒸留酒です。また、ヤナーチェクの歌劇「イエヌーファ」の舞台演出に、ローズマリーの鉢植えは欠かせない存在でありましょう。

 

もっとも、この写真のように、ローズマリーはリースとしても楽しめます。直径が35センチほどの野趣溢れる仕上がりは、壁掛けはもとより、卓上に飾っても素敵です。おひとつ、¥6,480。受注製作になります。(2016.7)

 

 

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【洋種ヤマゴボウについて】

 

白と緑のブーケというのは面白いもので、初夏の頃だと涼しく感じていたものが、暑さが増すに連れると大して感じなくなる事があります。そんな時に重宝するのが、洋種ヤマゴボウの存在です。この写真でお気づきのとおり、マゼンタに近い茎の色がどういうわけかブーケの印象をより涼しく見せてくれます。

 

とりわけ、その小さな白い花序は垂れ下がっているのも大変よろしく、スカビオサや人参の花といった草花はもちろんの事、アジサイとも美しく調和するのは嬉しい限りですし、深いボルドー色のダリアなんぞと束ねますと、夏の洗練されたブーケも出来上がります。

 

別名、アメリカヤマゴボウともいうように、この花は北アメリカ原産の多年草で、明治時代に日本に伝わった帰化植物です。在来種である食用のヤマゴボウとは別物でその根は食べられません。区別するために洋種と付きます。ちなみに、食用の方はキク科でこちらはヤマゴボウ科です。(2016.8)

 

 

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【コスモスについて】

 

コスモスといえば、秋の七草のように万葉の時代から野原に咲いていると想像しがちですが、実際は違っていて、この花はメキシコ原産の植物です。明治後期に伝わった日本では、大正時代にはハイカラな花として流行し、今では秋の花として、私たちをノスタルジックな情緒へと誘い出します。

 

この写真のように、パニカムやススキといった禾本科植物を加えたブーケは満月と一緒に楽しめるこの季節の定番です。もっとも、キク科で頭状花序のコスモスを束ねる時には、あえて花の高さを揃えない方がより自然な印象に仕上がるというのはここだけの話。

 

ちなみに、名前の由来である、ギリシア語のコスモス・ビピンナツスには「秩序ある美しい飾り」というほどの意味があります。どうやら、花ではなく羽根状の葉姿の事を指しているようで、名付けたスペインの先人とは何だか友達になれそう。(2016.9)

 

 

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【アナベルのリース】

 

アメリカノリノキの園芸種であるアナベルは、以前この欄で述べたように、乾燥した花姿も綺麗ですから、リースとしても楽しめます。壁掛けにしたとしても、卓上に飾ったとしても、その移ろいゆく秋の緑が、部屋の中を華やかに演出してくれる事はいうまでもありません。

 

この写真のように、環状にしたサンキライの枝を土台として、アナベルを敷き詰めるように絡めれば、自然な雰囲気のリースが出来上がります。とりわけ、近年出回り始めた八重咲きの品種、ヘイズスターバーストだけで作りますと、その星形の小さな装飾花が目を惹く事でありましょう。

 

アナベルのリースは直径が約30センチほどで、おひとつ、¥4,320。もとより、この花はアジサイの仲間として北米の野山に自生していたわけですから、リースの形はあまり整えず、歪んだドーナツ状に仕上げた方が、その魅力はより一層引き出されます。(2016.10)

 

 

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【クリスマスのリースその2】

 

クリスマスは、太陽を励ます生命力の祝祭として、もともとヨーロッパにあった冬至祭が発展したものですから、そのリースは冬でも美しい常緑の植物で作る事がやはり重要です。むろん、毎年私が作っているモミを使ったクリスマスのリースもその定義によりますが、今年はもう一つ、新しいリースを作りました。

 

環状にしたサンキライの枝を土台として、コニファー、スキミア、野イバラの順に絡めて仕上げたのが、クリスマスのリースその2です。スキミアはモミと並んで、イギリスではクリスマスを象徴する植物ですが、その臙脂色の蕾は、雪の中で一際引き立つ事はいうまでもありません。

 

ご覧の直径約50センチ(写真)のものがおひとつ、¥18,900。直径約30センチはおひとつ、¥10,800。ご予約のみでの販売です。扉飾りだけではなく、卓上飾りとしてもお楽しみいただけます。(2016.11)

 

 

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【インスタグラムについて】

 

皆さんも良くご存知の通り、昨年の夏から、写真共有サービスのインスタグラムを始めました。きっかけは、レッスン内容をお知らせするのに便利だと、知人に勧められたからですが、写真好きの私がすぐに魅せられしまった事は申すまでもありません。

 

洋の東西を問わず、ひとつのブーケについて、会話ができるというのも面白さの一つで、花屋にとっては21世紀のショーウインドー。1日1枚、投稿しておりますので、これからも引き続きお楽しみください。

 

さて、おかげさまで、ミニ大通りに根を付けて9年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

えっ、そのインスタグラムで、憧れの花屋、クリスチャン・トルチュからの唯一のコメントが、花以外の事だったでしょうって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2016.12)

2015-12-01 11:30:00

ミニ大通の並木から(20015.2〜20015.12)

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【ベビーティアーズについて】

 

属名のソレイロリアは、プラントハンターの名前にちなみますが、私たちに馴染み深い呼び方は、世界一小さな花が咲くことから名付けられた、ベビーティアーズでありましょう。

コルシカやサルディーニャといった地中海の島に自生していたこの常緑つる性植物は、その若草色が春の訪れを感じさせてくれます。

 

この写真のように透明なガラスの器に入れると土の色が引き立って緑がより美しい姿です。また、透明なガラスだからこそ、水やりも、土が乾いたら湿らせれば良く、管理の点からもこれが最適な仕様であることはいうまでもありません。おひとつ、¥830。

 

ちなみに、イタリアではこの植物の育て方を表すかのごとく「ほったらかす」、イギリスではその緑を称えて「アイリッシュ・モス」というようです。ひとつの植物に様々な名前がある場合、それだけ多くのひとびとに愛されている証でもあります。(2015.2)

 

 

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【春の訪れ】

 

香りの良い、異なる3種のピンク色のバラと、ミモザ色、杏色、桃色のチューリップ、桜色のスイートピー、若草色のスノーボール、豆の花、ローズゼラニウムを束ね、ハランを巻いた器に、クラリネビウムの葉を一緒に飾ったこのブーケ。

 

実は先日、東京で開催された、クリスチャン・トルチュのレッスンで私が製作したものです。ガラスの器に葉を巻いて花器にする事。花と葉を螺旋状に束ねる事。季節感を考え、自然な技術、雰囲気で仕上げる事。その全てがこのブーケに詰まっております。

 

今から24年前、私はこういった彼の新しいブーケに衝撃を受け、花の世界に引き込まれました。でも、直接指導を受けたわけではない、いわゆる独学なので、いつか本人に自分が作ったブーケを見てもらいたいと思い続けていたわけです。その夢がこの日、やっとかないました。私の心に春が訪れたのです。(2015.3)

 

 

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【母の日に作るブーケ】

 

母の日にブーケを作るのは、今年で25回目になります。籠に盛ったフラワーアレンジメントから始まって、給水スポンジを用いずにスパイラルブーケを作るようになり、その器も葉で覆い、器付ブーケの形に落ち着いたのが、今から20年ほど前。

 

また、そのブーケも、スズランを提案した時代もあれば、蕾のシャクヤクを使って咲かなかったり、アスパラを器に巻いて萎びさせてしまったり、1種類の花と緑だけで寂し過ぎたりと、失敗が無かったとはいえません。

 

でもそのような経験があったからこそ、母の日に作るブーケは、季節の素材で美しく作るのはもちろんのこと、貰って嬉しくなるようなものに仕上げられるようになりました。もっとも、このようなロゼット咲きのバラであれば、誰が手にしても喜ばれることでしょう。(2015.4)

 

 

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【シャクヤクについて】

 

ヨーロッパの花屋がシャクヤクを「5月のバラ」と呼ぶように、5月に入るとこの花はバラ以上の美しさと華やかさで私たちを楽しませてくれます。中でも私のお気に入りは、花弁の多い八重咲きの品種です。たとえば、この写真のようにバラに少し加えて束ねますと、とてもエレガントなブーケに仕上がります。

 

フランス風にピヴォワンヌといえば、ギリシア神話の医薬神パイアンがその語源であることに気が付きますが、芍薬とも書くように、この花は西洋でも東洋でも古くから薬草として用いられてきました。もっとも、5月の花屋にとっては、人の心をときめかす薬草といったところでしょうか。

 

ちなみに、退廃する貴族を描いたルキノ・ヴィスコンティの映画「山猫」では、満開のシャクヤクがクローズアップされる場面が出てきます。その花弁がもうすぐ散ってしまう、華やかさと儚さを併せ持つのも、この花の魅力です。(2015.5)

 

 

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【デルフィニウムについて】

 

ギリシア人は蕾の形からイルカを示すデルフィン、イギリス人はヒバリの蹴爪というほどの意味のラークスパー、日本では飛燕草という具合に、この花には様々ないいまわしがありますが、私の感覚にぴたりと一致するのはフランスでの花ことば「野原のよろこび」です。

 

この写真のように、ヴェロニカ、オルラヤ、グリーンミスト、ワイルドオーツと束ねれば、夏の日差しを浴びた田園が手の中で出来上がります。いい換えてみれば、このシャンペトル風の素朴なブーケそのものが「野原のよろこび」ともいえましょう。

 

もっとも、農事歴では、郭公が鳴くと種を蒔く季節といいますが、花屋ではデルフィニウムがちょうど出回り始めます。郭公が鳴いたら田園風のブーケの始まりというわけです。ちなみに、この花は秋の草花と組み合わせても、また素敵なブーケに仕上がります。(2015.6)

 

 

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【亜麻について】

 

アンデルセンの童話にも「亜麻のこころ」というのがあるように、この花はヨーロッパの北国で昔からリネンや紙を作るべく栽培されてきた植物で、「最上級に有用な」というほどの意味の学名がついています。また、強く成長する植物であることから、病や悪魔を退ける活用の仕方もありました。

 

ただ、切り花には向いておらず、亜麻を楽しむとすれば、地植えか、この写真のように、苗を柳で編んだ籠などに入れて飾るのが最適です。花色は青が多いのですが宿根だと白も見つかります。もっとも、亜麻色に乾燥させてリースにしても素敵でありましょう。

 

ちなみに、私の住む北海道でも亜麻は身近な植物で、美しい亜麻畑が広がる当別町では毎年7月に亜麻まつりが開催されています。札幌から自転車で1時間。ツールドフランスをテレビ観戦して気分が高まったら、夜明けとともにさあ出発です。(2015.7)

 

 

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【リースあれこれ】

 

プリニウスの時代であれば、リースは今日でいうところのブーケのような存在でありましたから、その組み合わせ方や花材については、乾燥後の事を考える必要があるにせよ、決まりがあるわけではありません。とりわけ、緑の移ろいを楽しむようなものであれば、あれこれできるというわけです。

 

写真は、最近作りおろした10種類のリースになります。これは作家さんからのご依頼品で、木彫の動物と組みわせて展示する趣向だった事もあり、どれもが一点物でありました。テーマに沿って、ボマルツォのバロック庭園を妄想して仕上げたわけですが、そのほとんどが初めて作ったものばかり。

 

中にはビギナーズラックな出来栄えがあった、というのはここだけの話として、時には「視界を遮る生い茂った緑」とか「静寂と危険な気配」といったお題をいただき、考えて作るリースもまた新鮮な喜びがございます。

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【アナベルについて】

 

アジサイの仲間であるアナベルは、北アメリカ原産の落葉低木、アメリカノリノキの園芸種です。手毬状に付けた花房は日本のアジサイに良く似ておりますが、茎は細く葉も薄いので、その違いはすぐにわかるかと思います。

私の住む北海道では、夏から秋の庭や公園でも最近はよく見かけるようになりました。

 

このアナベルの魅力はその花色と花姿です。花色は蕾から咲き進むにつれて、緑から白に、白から再び緑に、そして緑から赤茶へという具合に変化していきます。また、乾燥した花姿も綺麗ですから、リースを作って楽しむというのも素敵な考え方でありましょう。

 

写真は、ちょうど1年前のレッスンで、八重咲きのアナベル「スターバーストグリーンホワイト」で束ねた田園風のブーケです。たしか、この日は即興でテーブル飾りも実演しました。アイビーとククミスを加えて仕上げた緑のマリアージュ、といった雰囲気で。(2015.9)

 

 

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【秋バラについて】

 

バラの切り花が美しい時期は年に2度訪れます。ひとつは、春の終わりから7月にかけ一番花は、大輪なものが多いのが特徴です。そしてもうひとつは、本格的に秋が始まる10月頃で、秋バラという言い方をします。

 

その特徴といえば、初夏のものと比べて花が一回り小さい分、寒暖差によって色合いがはっきりしている印象です。紅茶でいうところの、セカンドフラッシュ、あるいはオータムナルというわけで、深い味わいがありますから、バロックブーケのように、多種の花材を束ねるには好都合になります。

 

中でも、私がもっとも手にする品種はシェドゥーブルで、その名の通り、白いバラの中では「傑作」です。微香ではありますが、花弁の多さや、クラッシックな咲き方はとても気品が溢れています。この写真のように、秋の果実や草花と合わせますと生きた17世紀のオランダ絵画が楽しめるわけです。(2015.10)

 

 

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【ナンキンハゼのリース】

 

ナンキンハゼは、私の住む北海道では馴染みが薄い樹木の為、美しい新緑や紅葉については写真でしか知りません。けれども、晩秋に市場に僅かながらに出回る、茶色い実が裂けた後の、蝋を含んだ白い種の姿でしたら身近な花材です。

 

この写真のように、土台にしたウンリュウヤナギに、鳥の巣のように絡めて作るナンキンハゼのリースは、私が作るリースの中で、もっとも長く楽しめることでしょう。なぜなら、葉や実で作るリースとは異なり、この硬質な白い種は乾燥しても大きな変化がなく、四季を通して楽しめるからです。

 

直径約35センチのナンキンハゼのリースは、おひとつ、¥8,640。数が限られる為、ご予約のみの販売になります。因みに、漢字では南京櫨と書きますが、南京には珍しいもの、小さくて可愛いものという意味があるようです。(2015.11)

 

 

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【スワッグについて】

 

スワッグとは、「花綱飾り」というほどの意味で様々な形状がありますが、ここで、ご紹介するのはブーケを逆さかに吊るしたような作り方です。写真は、クリスマス向けに仕上げたものですが、少し立体的なことに気づかれたでしょうか。

 

実は、これもスパイラルブーケになっていて、枝葉を螺旋状に束ねる事で、自然な雰囲気の壁飾りに仕上がります。おひとつ、¥5,400。

 

さて、おかげさまで、ミニ大通りに根を付けて8年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

えっ、最近のレッスンでは、元ラガーマンとして、花よりもラグビーの話ばかりしてるでしょうって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2015.12)

2014-12-01 11:30:00

ミニ大通の並木から(20014.2〜20014.12)

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【アネモネについて】

 

アネモネは、ギリシア神話だと美少年アドニスとして、聖書では野の花として登場する地中海原産の植物で、昔から人びとに愛されている花のひとつです。とりわけ、フランスでは16世紀にトルコから輸入する以前から栽培が盛んで、さまざまな園芸種が存在します。

 

中でも、マリアンヌ種のパンダは、芯が黒く、緋色がかった蕾が特徴の白花で、私が最も好むアネモネです。かつては冬のパリの花屋でしか見かけませんでしたが、近ごろでは、北海道産も市場に出回りますから、もうパリの花屋をこの時期羨ましく思う必要がないというもの。

 

この写真のように、大葉のユーカリとモクレンでブーケは簡素に仕上げるのが定石です。ちなみに、ロシアのソチから520km離れたアルメニアの国花がアネモネであることは、あまり知られておりません。(2014.2)

 

 

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【ヘレボラスについて】

 

近年、雪どけとともに札幌の花屋を賑わすようになったフェチダスは、いわゆる有茎種のヘレボラスです。同類でクリスマスローズと呼ばれるるニゲルや、春咲きのオリエンタリスよりも、このフェチダスは切り花として長く楽しめることも人気の秘密でありましょう。

 

写真は、ちょうど1年前のレッスンで作った「早春の庭から」をテーマにしたブーケです。スノードロップやフリチラリアとともに、セラドングリーンの葉に萌黄色をしたフェチダスの花姿が、私たちに春の喜びを教えてくれます。

 

ちなみに、旅帰りのお客さまによれば、先日、黒いマリアで名高いスペインの岩山モンセラに登ったところ、野生のフェチダスが咲いていたそうです。これは旅に行かねばなりません。ちょうどこの山の麓では自転車のレース、カタルーニャ1周もあることですしね。(2014.3)

 

 

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【スノーボールについて】

 

申すまでもなく、アネモネやミルトなど、私たちが良く知る自生植物の多くは、ギリシア神話や聖書などに登場するわけですが、スノーボールの花は17世紀フランドルの画家たちが描くまで待たなければなりません。それもそのはず、このアジサイに似た手鞠花は、バロック時代に生まれた花卉植物なわけです。

 

いわんや、ブーケに適した花でありますから、ラナンキュラスやチューリップといった春の花とは美しく調和します。また、花色も素敵で、その若草色は、まるで雪の中から顔を出したふきのとうのように、春の目覚めを感じることでありましょう。

 

「光を意識してスノーボールを選ぶ」とは、シャンペトルブーケの先駆者で、フランス・ノルマンディー出身の花屋、カール・フューシュがいった言葉ですが、北国に住む私の春の心には良く響きます。(2014.4)

 

 

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【薔薇について】

 

私がこの仕事を始めた当時、花屋の薔薇といえば、剣弁咲きの、微香でしっかりした茎のものが主流で、どこか人工的な印象がありました。これは、挿して美しい、フラワーアレンジメント向きの品種が多かったからであることは、いうまでもありません。

 

それが、21世紀になりますと時代は変わって、束ねて美しい、ブーケ向きの品種が数多く栽培されるようになってきたました。ルドゥテが好んで描きそうな花姿のシェドゥーブル、ミルラ香のフェアビアンカなど、最近は、束ねても、贈っても、貰っても、飾っても、嬉しくなる薔薇が身近になっております。

 

中でも、この写真のピンクイブピアッジェは、詩人サッフォーが喜びそうなダマスクの強い香りが素晴らしい。手にしただけで、ローズガーデンを散策している気分になりましょう。もっとも、あなたが自転車乗りであれば、5月はこのローズ色にもときめくはずです。(2014.5)

 

 

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【アジサイについて】

 

夏の暑い時期でも、長く楽しむことができるアジサイは、この写真のように、旬のブルーベリーの枝葉などと束ねれば、素敵なブーケが簡単に出来上がります。中でも、白や緑色の切り花向けの品種は、部屋の中はもちろんのこと、私たちの心までも涼しくしてくれる一品です。

 

学名のハイドランジアには、水の容器といった意味があるようで、もうずいぶん昔、ルキノ・ヴィスコンティが、水の都ヴェニスの街を舞台にした映画を撮った時、この花を象徴的に登場させていたのも、そういった理由があるからにちがいありません。

 

もっとも、フランス語でいうオルタンシアが、ラテン語で庭を意味するホルトゥスという言葉が語源だと知れば、この日本生まれの花が、18世紀ヨーロッパに伝わり、庭園で愛され、西洋で盛んに品種改良されてきたということは容易に想像できます。(2014.6)

 

 

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【ラシラスについて】

 

スイトピーの仲間で、蔓にいくつもの花が付いてこの季節に出回るラシラスは、枝スイートピー、宿根スイートピー、サマースイートピー、ペレニアルピー、連理草など、花屋によってその呼び方は様々ですが、私はイギリスのガーデナーのように学名のラシラスと呼んでいます。

 

ラシラスは古代ギリシアのテオフラストスの薬種書にマメ科の植物の名として登場するように、園芸植物というよりも、野原に自生していた薬草です。だからブーケにする場合は、野原のスイートピーといった趣で束ねると素敵になりましょう。

 

もっとも、「四月の花器」をお持ちであれば、この写真のように、ブルーベリー、ブラックベリー、アネモネ・バージニアニ、グリーンスケールを飾れば、北方の夏が出来上がります。ちなみに、夏の北海道の浜辺に咲くハマエンドウもラシラスの仲間です。(2014.7)

 

 

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【ラベンダーについて】

 

ラベンダーをブーケにして楽しむと考えた時、私の念頭に浮かぶのは次の二つです。一つは、ラバンティ系のラベンダーが生育する、地中海沿岸の石灰岩の多い温暖で乾燥した地域を妄想した、オリーブやネズ、ローズマリーなどと束ねるプロヴァンス風のブーケ。

 

そしてもう一つは、この写真のように、私の住む北海道で栽培される寒冷地向きのアングスティフォリア系のラベンダーを、乾燥させて作るテーブル飾りです。この系統は香りが強くドライフラワーには最適とされ、中でも色が鮮やかな「濃紫3」という品種を使って仕上げています。

 

ちなみに、向かって右側は定番のタンバル、左側は新作の器付です。これは、ちょうど一月前、上富良野町の日の出公園から十勝岳温泉まで自転車に乗った時、沿道に続くラベンダーと白樺の対比が美しく、ちょっと閃めいて仕上げてみたというものです。(2014.8)

 

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【クレマチスについて】

 

ギリシア語で葡萄の枝というほどの意味クレマを語源とするクレマチスは、夏と秋が旬の蔓植物です。日本では「鉄線」とも呼ばれますが、イギリスでは「旅人の喜び」といって旅宿に植える風習があります。種類も豊富で、ブーケにする場合それぞれの特徴を見極めて束ねなければいけません。

 

たとえば、1本の蔓に花が沢山ついているものは、アジサイに絡めながら束ねると上手くまとまります。それから、花が小さい品種でしたら、可憐なバラと組み合わせても素敵でしょう。もっとも、この写真のように直立性で大輪の八重咲きの場合は、田園風に仕上げることで秋の月夜と楽しむことができます。

 

一方、北海道ではこの時期、白い小さな花を付けた仙人草を見かけますが、こちらは日本原産のクレマチスです。秋色のアジサイや白いバラなどと組み合わせますと、上品で洗練されたバロックブーケが出来上がります。(2014.9)

 

 

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【ダリアについて】

 

ふた昔前に、ダリアといえば、フラワーアレンジメントに不向きな過去の花として、市場にはあまり出回っておりませんでした。たしか、その当時手に入ったものは、北広島市の生産者が作る、蕾付の白いポンポン咲きの品種ぐらいでしょうか。

 

それがここ数年、さまざまな品種のダリアが花屋に並ぶようになったわけですから驚きです。これは、最近束ねて美しいブーケを作る花屋が増えてきたということもありますが、やはり、この写真の「黒蝶」が21世紀になって登場したことによって、ダリアの魅力が見直されたのだと思います。

 

もっとも、この新品種が秋田県にあるダリア園で生まれ、世界中に広まったというのもさらなる驚きです。それは、日本の育種家が花屋の潮流までも作ったことも意味します。その華やかなボルドー色は私たちが求めていた新しい秋の花だったというわけです。(2014.10)

 

 

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【マルメロとマグノリアについて】

 

花の少ない季節になっても、自然の楽しみ方はまだございます。たとえば、この写真の左、マルメロを飾ってその良い香りに気分をよくするというのも晩秋ならではです。ヴィクトル・エリセの映画「マルメロの陽光」で主人

公が毎年秋になるとマルメロを描いたように、私はこのアラブの果実を並べております。

 

もっとも、しばらく飾ったマルメロは、ポルトガル人のごとく、皮を剥いて煮詰めれば、いわゆる本来のママレードが出来上がりますし、ローマ人のように、入浴時に楽しむというのも素敵な行いでありましょう。心も温まるかもしれません。

 

それからもう一つ、この写真の右、ガラス器に巻いている葉がマグノリアです。その葉の裏はスエードの調な質感と薄茶色で、美しく乾燥しますから、自然素材の花器としても重宝します。秋から春までのブーケを飾る器としてぴったりなので、この時期には欠かせない枝葉です。(2014.11)

 

 

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【お正月のタンバル】

 

松葉を巻いたガラス器に、新芽が赤く染まるメラレウカ、山シダの仲間シースター、そしてシクラメンを加えれば、昨年から作り始めた「お正月のタンバル」の完成です。

 

ソロモンの冠という呼び方があるシクラメンを、私が決まって松と組み合わてブーケに仕立てるのは、この花が冬の地中海沿岸地域の松林、とりわけ、アレッポ松の下に自生するからだというのはここだけの話。おひとつ、¥3,240。

 

さて、おかげさまで、ミニ大通りに根を付けて7年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

えっ、今年は趣味の自転車レースで初めて表彰台に上ったものの、その後、調子にのって挑んだツールド北海道では転倒してリタイヤしたでしょうって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2014.12)

2013-12-01 11:30:00

ミニ大通の並木から(20013.1~20013.12)

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【ラナンキュラスについて】

 

17世紀に、冬でもバラのような花がほしいと湿地の国オランダで品種改良されたのがラナンキュラスです。すなわち、この花をバラと見間違えてしまうのはもっともな話で、ヨーロッパでは、冬のバラ、花屋のバラという呼び方があるといいます。

 

旬のキヅタやビバーナムと束ねれば、これぞ冬のパリのブーケという感じですし、色が豊富なのも大変よろしい。冬から春にかけて、私がいちばん多く束ねている花かもしれません。また、この写真のように花嫁には、スノーボールとともに結婚の象徴であるアイビーで結べばとても素敵です。

 

ちなみに、ラナンキュラスは、蛙を意味するラテン語ranaに由来します。これは、この花が蛙と同様の生育地を好むからですが、だからなのか、まだパリ7区にあった頃のジョルジュ・フランソワの店には、この花の側に決まって蛙の彫刻が飾られていたものです。(2013.1)

 

 

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【ミモザのリース】

 

北国に住む人びとにとって、暖かい地域で育つミモザは異国の木といえます。だから、この花が庭に咲いて、春を感じるといった経験が私にはありません。けれども、その明るい黄色を雪の降り積もる季節に目にした時は、春が近づいて来たなと感じます。

 

ミモザという名は、その葉が似るオジギソウからついた一般名で、正確にはアカシア属の花のことです。その中で、ハナアカシア、ギンヨウアカシアを私たちはこう呼んでいます。花屋では1月下旬から4月頃に入荷するでしょうか。ブーケにするなら、同じオーストラリアが原産のユーカリと束ねます。

 

むろん、リースにしても素敵です。いつものように、環状にしたヤナギに、鳥が巣を作るように絡めて仕上げます。ミモザは木の花ですから、小さく作らず30センチほどの大きさで仕上げたいものです。おひとつ、¥3,150。ちなみに、イタリアで3月8日はミモザの日。この春の環が黄金色に輝きます。(2013.2)

 

 

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【還暦祝いのブーケ】

 

還暦は、いわば誕生日のお祝いです。したがって、束ねる花は季節のもの、華やかな八重咲きで作るのが一番で、夏と秋はバラ、冬と春はラナンキュラスを束ねます。色合いは、この写真のように、ボルドー色を用いて作るのが最近の傾向です。

 

むろん、私が多く作る白と緑の色合いでも良いとは思うのですが、還暦祝いのブーケは一生に一度、熟成した大人が手にする特別なもの。ボルドーワインのような花色で、エレガントに祝福されるというのも素敵ではないでしょうか。

 

もっとも、ボルドー色の花は、それだけですと、ブーケの印象が暗く重たい感じになってしまいます。モーブ色や若草色の花も加えて、ブーケは軽やかに仕上げたいものです。おひとつ、¥6,300から。この場合、そのまま飾ることができる器付きが喜ばれます。(2013.3)

 

 

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【ブーケ・ロマンチック】

 

ロココ調なパステルカラーの花々を用いたブーケ・ロマンチックは、数年前から取り組んでいる花束の一つです。とりわけ、春の日差しが良く似合うブーケでありますから、白い雪からやっと解放されたこの季節に眺めますと、夢見心地な気分になりましょう。

 

その特徴としては、モーブやローズといった、いかにもヴァトーの絵画に出てきそうな柔らかな色の花で作ることです。むろん、花はバラやラナンキュラスであることが望ましい。そして、スノーボールやニンジンの花などを加えて、その甘美な雰囲気を引き立たせます。

 

それも、きっちりとはまとめずに、ふわっと、曲線を感じさせるロココの精神で束ねることが大切です。ちなみに、このブーケは母の日の注文で生まれました。「白と緑はちょっと」というお客様に、白と緑だけではできない、ブーケ・ロマンチックを提案したのです。(2013.4)

 

 

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【バラのタンバル】

 

バラのタンバルは、いろいろな楽しみ方ができるブーケです。たとえば、その香りに心を奪われたり、色のアクセントとして食卓を豊かにしてくれます。あるいは、手のひらに乗る小さな贈り物として、ちょっとした手土産にもなりましょう。

 

むろん、このブーケはバラが主役ですから、品種の選択も大切になります。白なら、フランス語で傑作というほどの意味を持つシェドゥーブル。私がこれまで扱ってきた白バラの中で最も美しい。それから、華やかなピンクでしたら、イブ・ピアッチェ。シャクヤク咲きで、こちらはダマスク香が素晴らしい。

 

いずれにせよ、バラ3輪にアジアンアムやジャスミンなどを優しく添えて、そのまますぐ飾れるように、葉を巻いた器に飾ります。バラのタンバルは、おひとつ、,150。5月からクリスマス頃まで、良いバラが入荷した時、店内にこっそり並びます。(2013.5)

 

 

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【ブーケ・シャンペトル】

 

スパイラルブーケにもいろいろあって、この写真のように、野原から摘んだように束ねたものは、ブーケ・シャンペトルといいます。もっとも、長らく花の仕事に携わっている方であれば、かつては、こういったブーケをトルチュ風と呼んでいたにちがいありません。

 

ブーケ・シャンペトルは、上からは丸く、横からは花の高さを揃えず立体的に束ねることで、どこからでも花が美しく見える仕上がりになります。とりわけ、花器に飾った時に、このブーケが、単なる自然風な花束ではないことがわかるのではないでしょうか。

 

シャンペトルとは、フランス語で「田園」とか「田舎」というほどの意味があります。花材について少し述べれば、夏から秋に作る上で欠かせないのが、オルラヤ、レースフラワー、アンゼリカ、ニンジンなどセリ科の花です。これらは、ブーケに風を感じさせるシャンペトルの大切な要素になります。(2013.6)

 

 

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【トケイソウのリース】

 

パッションフルーツの仲間でもあるトケイソウ。夏の季節、長沼町から130センほどの長さで花市場に出荷されます。ただ、この切り花はつる植物で自立しません。そこで、店内の棚に絡めて飾っていたところ、お客さんが「リースみたい」といったのがきっかけで生まれたのが、このトケイソウのリースです。

 

直径20センチほどの環状にしたウンリュウヤナギに、保水用のガラスチューブを差し込み、トケイソウを時計周りに絡めます。そして、茎とチューブをリリオペの葉で結んで固定すれば、この爽やかな夏のリースは完成です。おひとつ、¥3,150。(期間限定)

 

もっとも、この写真のように、壁に掛けても良いものですが、卓上に置いてテーブルリースとしても素敵でありましょう。ちなみに、トケイソウの花は順番に咲きますから、このリースの表情は時を刻むように花の咲く場所が移動して日々変わっていきます。(2013.7)

 

 

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【バッカスのリース】

 

ちょうど今から1年前、山ブドウを使ってリースを作る話をいたしましが、この写真がその完成品、バッカスのリースです。山ブドウを主役に、同じウコギ科のアイビーとシッサスを環状に絡めて仕上げています。たわわに実ったブドウが7房はあるでしょうか。

 

そもそも、バッカスとは、ローマ神話に出てくる豊穣とブドウ酒、酩酊の神です。人間にワイン作りを指南したわけですが、バロック期イタリアの画家カラヴァッチョの名高い『バッカス』でも描かれているように、頭には決まってブドウの冠を載せています。

 

だからここだけの話、昨年、このリース作りのレッスンでは、つい頭に被って楽しみました。バッカスのリースはおひとつ、¥3,150。

ちなみに、緑色の果実はエビ色、乾しブドウと次第に変化して、このリースはワインのごとく、熟成していきます。

(2013.8)

 

 

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【ククミスのヴェリーヌ】

 

ククミスとはウリ科キュウリ属の学名で、この緑色の小さな実は野生キュウリの原種です。今から20年ほど前なら、パリの花屋でしか見かけなかった観賞果実が、今では、和寒町で栽培されたものが、夏から秋にかけて手に入るではありませんか!

 

そんな目新しいククミスを、小さなグラスに、3種3層で飾ったのがククミスのヴェリーヌです。近ごろのフランス料理で、デザートなどを層にして見せる盛り付けのように、透明なガラス器に入れることで、卓上を、ちょっと洒落た雰囲気に演出することができます。

 

ククミスのヴェリーヌは、おひとつ、¥800。ちなみに、プリニウスの博物誌には、いくつかのククミスが登場します。ひとつは薬草としての野生キュウリ。もうひとつは、ローマ皇帝ティベリウスの好物としてで、こちらは現在のメロンと考えるのが一般的です。(2013.9)

 

 

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【秋のバロックブーケ】

 

そもそも、バロックとは16世紀末から18世紀ぐらいにかけて興った芸術様式です。たとえば、カラヴァッチョの絵画、ミケランジェロの彫刻、ヴェルサイユ宮殿の建築、ボマルツォの庭園、シャルパンティエの音楽など、まあどれもがお腹いっぱいになりそうな、過剰でごてごてした印象の作品が並びます。

 

さりとて、どれもが飽きる事もない美しさで、自然の風景のように、人々に強い印象を残しますから、花屋がバロック風についつい魅せられてしまうのは、そんな理由がありましょう。

 

写真は秋のバロックブーケです。バラ、グロリオサ、コティヌス、ビバーナム、山ゴボウ、テマリシモツケなど、多種多様な花と枝葉、果実を束ねて、マグノリアの器に飾りました。おひとつ、¥5,250から。華やかさと上品な多色使いが求められるバロックブーケは、やはり秋が充実いたします。(2013.10)

 

 

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11月【アドベントのリース】

 

この時期、ドイツや北欧、フランスなどの花屋やクリスマス市で、4本のキャンドルを立てたリースがたくさん売られています。あれを、単なる卓上型のクリスマスリースだと思ったら大間違いで、アドベントの飾り物であることは、いうまでもありません。

 

今年は12月1日から始まる、クリスマスを待ち望む期間,アドベント。そこで、毎日曜日ごとに、灯すキャンドルの数を増やしながら気分を高めていくために、こういったリースがクリスマスのリースとは別に存在しているというのは、皆さんもよくご存知でありましょう。

 

写真のように、モミやコニファーなどの常緑樹を丸く絡めて、4色の「球根型のろうそく」を付けたアドベントのリース(直径約30センチ)は、おひとつ、¥5,900。そういえば、私が毎年購入するパン屋のアドベント菓子、シュトレンにも、4つのキャンドルが必ず添えられています。(2013.11)

 

 

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【ユーカリのリース】

 

近ごろは、様々なユーカリが手に入るようになったこともあり、ちょっと作ってみたのがユーカリのリースです。イタリア料理のソース、クアトロ・フォルマッジのごとく、ポプラス、フォレスティアーナ、グロボラス、トレリアーナと4種の個性が混ざり合う事で、奥深いユーカリのリースが出来上がります。

 

クリマスはもとより、お正月、春、夏、秋と季節を問わず楽しめるのは、北国の庭では見かけることがない、オセアニアの異国情緒を感じるからなのかも知れません。ユーカリのリースはおひとつ、¥3,150。南半球が夏を迎える今が旬です。

 

さて、おかげさまで、ミニ大通りに根を付けて6年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

えっ、最近は「いつからありましたか」ではなく「いつ開いているのですか」と聞かれているでしょうって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2013.12)