2013-12-01 11:30:00

ミニ大通の並木から(20013.1~20013.12)

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【ラナンキュラスについて】

 

17世紀に、冬でもバラのような花がほしいと湿地の国オランダで品種改良されたのがラナンキュラスです。すなわち、この花をバラと見間違えてしまうのはもっともな話で、ヨーロッパでは、冬のバラ、花屋のバラという呼び方があるといいます。

 

旬のキヅタやビバーナムと束ねれば、これぞ冬のパリのブーケという感じですし、色が豊富なのも大変よろしい。冬から春にかけて、私がいちばん多く束ねている花かもしれません。また、この写真のように花嫁には、スノーボールとともに結婚の象徴であるアイビーで結べばとても素敵です。

 

ちなみに、ラナンキュラスは、蛙を意味するラテン語ranaに由来します。これは、この花が蛙と同様の生育地を好むからですが、だからなのか、まだパリ7区にあった頃のジョルジュ・フランソワの店には、この花の側に決まって蛙の彫刻が飾られていたものです。(2013.1)

 

 

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【ミモザのリース】

 

北国に住む人びとにとって、暖かい地域で育つミモザは異国の木といえます。だから、この花が庭に咲いて、春を感じるといった経験が私にはありません。けれども、その明るい黄色を雪の降り積もる季節に目にした時は、春が近づいて来たなと感じます。

 

ミモザという名は、その葉が似るオジギソウからついた一般名で、正確にはアカシア属の花のことです。その中で、ハナアカシア、ギンヨウアカシアを私たちはこう呼んでいます。花屋では1月下旬から4月頃に入荷するでしょうか。ブーケにするなら、同じオーストラリアが原産のユーカリと束ねます。

 

むろん、リースにしても素敵です。いつものように、環状にしたヤナギに、鳥が巣を作るように絡めて仕上げます。ミモザは木の花ですから、小さく作らず30センチほどの大きさで仕上げたいものです。おひとつ、¥3,150。ちなみに、イタリアで3月8日はミモザの日。この春の環が黄金色に輝きます。(2013.2)

 

 

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【還暦祝いのブーケ】

 

還暦は、いわば誕生日のお祝いです。したがって、束ねる花は季節のもの、華やかな八重咲きで作るのが一番で、夏と秋はバラ、冬と春はラナンキュラスを束ねます。色合いは、この写真のように、ボルドー色を用いて作るのが最近の傾向です。

 

むろん、私が多く作る白と緑の色合いでも良いとは思うのですが、還暦祝いのブーケは一生に一度、熟成した大人が手にする特別なもの。ボルドーワインのような花色で、エレガントに祝福されるというのも素敵ではないでしょうか。

 

もっとも、ボルドー色の花は、それだけですと、ブーケの印象が暗く重たい感じになってしまいます。モーブ色や若草色の花も加えて、ブーケは軽やかに仕上げたいものです。おひとつ、¥6,300から。この場合、そのまま飾ることができる器付きが喜ばれます。(2013.3)

 

 

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【ブーケ・ロマンチック】

 

ロココ調なパステルカラーの花々を用いたブーケ・ロマンチックは、数年前から取り組んでいる花束の一つです。とりわけ、春の日差しが良く似合うブーケでありますから、白い雪からやっと解放されたこの季節に眺めますと、夢見心地な気分になりましょう。

 

その特徴としては、モーブやローズといった、いかにもヴァトーの絵画に出てきそうな柔らかな色の花で作ることです。むろん、花はバラやラナンキュラスであることが望ましい。そして、スノーボールやニンジンの花などを加えて、その甘美な雰囲気を引き立たせます。

 

それも、きっちりとはまとめずに、ふわっと、曲線を感じさせるロココの精神で束ねることが大切です。ちなみに、このブーケは母の日の注文で生まれました。「白と緑はちょっと」というお客様に、白と緑だけではできない、ブーケ・ロマンチックを提案したのです。(2013.4)

 

 

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【バラのタンバル】

 

バラのタンバルは、いろいろな楽しみ方ができるブーケです。たとえば、その香りに心を奪われたり、色のアクセントとして食卓を豊かにしてくれます。あるいは、手のひらに乗る小さな贈り物として、ちょっとした手土産にもなりましょう。

 

むろん、このブーケはバラが主役ですから、品種の選択も大切になります。白なら、フランス語で傑作というほどの意味を持つシェドゥーブル。私がこれまで扱ってきた白バラの中で最も美しい。それから、華やかなピンクでしたら、イブ・ピアッチェ。シャクヤク咲きで、こちらはダマスク香が素晴らしい。

 

いずれにせよ、バラ3輪にアジアンアムやジャスミンなどを優しく添えて、そのまますぐ飾れるように、葉を巻いた器に飾ります。バラのタンバルは、おひとつ、,150。5月からクリスマス頃まで、良いバラが入荷した時、店内にこっそり並びます。(2013.5)

 

 

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【ブーケ・シャンペトル】

 

スパイラルブーケにもいろいろあって、この写真のように、野原から摘んだように束ねたものは、ブーケ・シャンペトルといいます。もっとも、長らく花の仕事に携わっている方であれば、かつては、こういったブーケをトルチュ風と呼んでいたにちがいありません。

 

ブーケ・シャンペトルは、上からは丸く、横からは花の高さを揃えず立体的に束ねることで、どこからでも花が美しく見える仕上がりになります。とりわけ、花器に飾った時に、このブーケが、単なる自然風な花束ではないことがわかるのではないでしょうか。

 

シャンペトルとは、フランス語で「田園」とか「田舎」というほどの意味があります。花材について少し述べれば、夏から秋に作る上で欠かせないのが、オルラヤ、レースフラワー、アンゼリカ、ニンジンなどセリ科の花です。これらは、ブーケに風を感じさせるシャンペトルの大切な要素になります。(2013.6)

 

 

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【トケイソウのリース】

 

パッションフルーツの仲間でもあるトケイソウ。夏の季節、長沼町から130センほどの長さで花市場に出荷されます。ただ、この切り花はつる植物で自立しません。そこで、店内の棚に絡めて飾っていたところ、お客さんが「リースみたい」といったのがきっかけで生まれたのが、このトケイソウのリースです。

 

直径20センチほどの環状にしたウンリュウヤナギに、保水用のガラスチューブを差し込み、トケイソウを時計周りに絡めます。そして、茎とチューブをリリオペの葉で結んで固定すれば、この爽やかな夏のリースは完成です。おひとつ、¥3,150。(期間限定)

 

もっとも、この写真のように、壁に掛けても良いものですが、卓上に置いてテーブルリースとしても素敵でありましょう。ちなみに、トケイソウの花は順番に咲きますから、このリースの表情は時を刻むように花の咲く場所が移動して日々変わっていきます。(2013.7)

 

 

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【バッカスのリース】

 

ちょうど今から1年前、山ブドウを使ってリースを作る話をいたしましが、この写真がその完成品、バッカスのリースです。山ブドウを主役に、同じウコギ科のアイビーとシッサスを環状に絡めて仕上げています。たわわに実ったブドウが7房はあるでしょうか。

 

そもそも、バッカスとは、ローマ神話に出てくる豊穣とブドウ酒、酩酊の神です。人間にワイン作りを指南したわけですが、バロック期イタリアの画家カラヴァッチョの名高い『バッカス』でも描かれているように、頭には決まってブドウの冠を載せています。

 

だからここだけの話、昨年、このリース作りのレッスンでは、つい頭に被って楽しみました。バッカスのリースはおひとつ、¥3,150。

ちなみに、緑色の果実はエビ色、乾しブドウと次第に変化して、このリースはワインのごとく、熟成していきます。

(2013.8)

 

 

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【ククミスのヴェリーヌ】

 

ククミスとはウリ科キュウリ属の学名で、この緑色の小さな実は野生キュウリの原種です。今から20年ほど前なら、パリの花屋でしか見かけなかった観賞果実が、今では、和寒町で栽培されたものが、夏から秋にかけて手に入るではありませんか!

 

そんな目新しいククミスを、小さなグラスに、3種3層で飾ったのがククミスのヴェリーヌです。近ごろのフランス料理で、デザートなどを層にして見せる盛り付けのように、透明なガラス器に入れることで、卓上を、ちょっと洒落た雰囲気に演出することができます。

 

ククミスのヴェリーヌは、おひとつ、¥800。ちなみに、プリニウスの博物誌には、いくつかのククミスが登場します。ひとつは薬草としての野生キュウリ。もうひとつは、ローマ皇帝ティベリウスの好物としてで、こちらは現在のメロンと考えるのが一般的です。(2013.9)

 

 

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【秋のバロックブーケ】

 

そもそも、バロックとは16世紀末から18世紀ぐらいにかけて興った芸術様式です。たとえば、カラヴァッチョの絵画、ミケランジェロの彫刻、ヴェルサイユ宮殿の建築、ボマルツォの庭園、シャルパンティエの音楽など、まあどれもがお腹いっぱいになりそうな、過剰でごてごてした印象の作品が並びます。

 

さりとて、どれもが飽きる事もない美しさで、自然の風景のように、人々に強い印象を残しますから、花屋がバロック風についつい魅せられてしまうのは、そんな理由がありましょう。

 

写真は秋のバロックブーケです。バラ、グロリオサ、コティヌス、ビバーナム、山ゴボウ、テマリシモツケなど、多種多様な花と枝葉、果実を束ねて、マグノリアの器に飾りました。おひとつ、¥5,250から。華やかさと上品な多色使いが求められるバロックブーケは、やはり秋が充実いたします。(2013.10)

 

 

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11月【アドベントのリース】

 

この時期、ドイツや北欧、フランスなどの花屋やクリスマス市で、4本のキャンドルを立てたリースがたくさん売られています。あれを、単なる卓上型のクリスマスリースだと思ったら大間違いで、アドベントの飾り物であることは、いうまでもありません。

 

今年は12月1日から始まる、クリスマスを待ち望む期間,アドベント。そこで、毎日曜日ごとに、灯すキャンドルの数を増やしながら気分を高めていくために、こういったリースがクリスマスのリースとは別に存在しているというのは、皆さんもよくご存知でありましょう。

 

写真のように、モミやコニファーなどの常緑樹を丸く絡めて、4色の「球根型のろうそく」を付けたアドベントのリース(直径約30センチ)は、おひとつ、¥5,900。そういえば、私が毎年購入するパン屋のアドベント菓子、シュトレンにも、4つのキャンドルが必ず添えられています。(2013.11)

 

 

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【ユーカリのリース】

 

近ごろは、様々なユーカリが手に入るようになったこともあり、ちょっと作ってみたのがユーカリのリースです。イタリア料理のソース、クアトロ・フォルマッジのごとく、ポプラス、フォレスティアーナ、グロボラス、トレリアーナと4種の個性が混ざり合う事で、奥深いユーカリのリースが出来上がります。

 

クリマスはもとより、お正月、春、夏、秋と季節を問わず楽しめるのは、北国の庭では見かけることがない、オセアニアの異国情緒を感じるからなのかも知れません。ユーカリのリースはおひとつ、¥3,150。南半球が夏を迎える今が旬です。

 

さて、おかげさまで、ミニ大通りに根を付けて6年が経ちました。皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

えっ、最近は「いつからありましたか」ではなく「いつ開いているのですか」と聞かれているでしょうって?まあ、そんなことはいいっこなしよ。(2013.12)