2009-12-01 11:30:00

ミニ大通の並木から(2009.1~2009.12)

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【小さなブーケ】

 

小さなブーケにはいろいろな考え方や作り方がありまして、最近もっぱら見掛けるのがブーケをそのまま小さくしたようなミニサイズの花束。でも私の好みにぴたりと一致するのは小さな花や果実だけを束ねたものです。

 

スミレ、デージー、スズラン、忘れな草、野いちご、ナスタチウム、シクラメン.....

 

大きく束ねられないからこそ小さな束にして色や香りを楽しむ考え方、そして花の周りに葉を王冠のようにぐるりと添えた作り方。もうずいぶん昔に訪れたフランスの花屋にはこんな心を贅沢にさせる愛らしいブーケが60フランほどで並んでいたというわけです。

 

そんなことを思い出して作る小さなブーケはおひとつ¥1,260。写真の小さな赤いバラなんぞは相手に負担のかからない還暦祝いのちょっとした贈り物にも最適です。(2009.1)

 

 

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【雪どけの花器】

 

トリュフチョコレートを作る時のトランペの要領で、円筒形の透明なガラス器にパラフィンろうを薄くコーティングすれば新作『雪どけの花器』の完成です。白い不透明な外観と液状のような質感から「雪どけ」と名付けましたが、理由はそればかりではありません。

 

たとえば、ヒヤシンス、チューリップ、ラナンキュラス、スイセンといった春の花をこの花器に飾れば、まるで雪どけの中から咲いているような雰囲気にもなるからです。それは、フクジュソウやフキノトウが雪どけの中から姿を現すような、雪国の早春の情景でもありましょう。

 

大きさは高さ11センチ、直径6センチほど。ベッドサイドに飾るような小さなブーケならちょうど良く飾れます。おひとつ¥630。

この写真を見る限り、ヒヤシンスとチューリップは何だか嬉しそう。ブロカントに収まったスノードロップはちょっと悔しそう。(2009.2)

 

 

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【花の定期契約】

 

あらかじめ飾る場所や花器を相談して花を飾る花の定期契約。現在は週に1度、店から徒歩圏内にある鍼灸院と手作り石鹸の工房にお届けしています。いずれもミニ大通りの近くなので、何かあった時にも馳せ参じられるというわけです。

 

もっとも、それぞれの店主に代わって季節を運ぶわけですから、こういう時の花飾りは、誤解を恐れずに申せば、花屋が技術を見せてしっかり飾りました、ではいけません。あたかも店主が飾ったように、何気なくそこに季節が感じられる雰囲気になることが大切です。でもそれがなかなむずかしいのではありますが・・・。

 

ちなみに、花の定期契約のことをアボンヌモンともいったはずで、ちょっと調べようと思ったら、今年復活した自転車選手、ランス・アームストロングが今テレビで見事な走りをしている真っ最中。フランス語の勉強はまたこの次にしてと。(2009.3)

 

 

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【花のレッスン】

 

2004年4月のこと。私が花のレッスンを始めることを知った周囲は不安がりました。そこで、「スパイラルブーケの難しい花材の組み合わせと分量は予め用意するのだから大丈夫」と説明したところ、いやはや、この私が人に教えることが心配なんだといいます。とまあそんな与太話はこれぐらいにして。

 

この花のレッスンは、資格を取るとか、人前で発表するとか、明日の花屋を育てるとか、ではありません。森の中で、田園で、自分の庭で、プリニウスの博物誌やユイスマンスの植物話を思い出すなんぞしながら、花や枝葉を摘み、鼻歌混じりにブーケが作れるようになることが目的です。本当かなあ。

 

スパイラルブーケには〈ブケ・ア・ラ・マン〉という呼び方があります。フランス語で「手の中で出来上がるフラワーアレンジ」というほどの意味で、すなわち、これは手が学ぶレッスンでもあるわけです。(2009.4)

 

 

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【私の庭づくり】

 

庭づくりは、いわば永遠のデコレーション。依頼をうければまずはその場所を訪れます。そして第一印象を元に、hibariというピアノ曲なんかを聴きながら、古代バビロニア人の空中庭園のごとく想像を膨らませて、まだ見ぬ庭の完成図を描きます。

 

たとえば、フィンランドの地名が店名のカフェの庭には亜麻やクランベリーで北欧の森の雰囲気に。軟石が鎮座するフランス料理店の中庭にはハーブを添えてオーブラックの大地のように。カフェが併設するお宅の庭には店名にちなみ徒然草に登場する禾本科植物を中心とした素朴な野原を、という具合。

 

そして、今度は現実的に、北海道の気候風土や日照条件に合う植物を選び、5月下旬から植栽してひとまずできあがり。あとは自然におまかせです。お気付きのように、店、ブーケ、花飾りと同様に、私は庭においても、花や色がいっぱいにはならないんだなあ。(2009.5)

 

 

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【高さのある器付きブーケ】

 

葉を巻いた器にブーケをセットした器付きブーケも、夏から秋の間に限っては旬のデルフィニウムの花で、高さのあるものが登場です。たとえば、写真のように、トクサを巻いた器に、デルフィニウムを田園調に束ねたブーケを飾るといった具合。すなわち、丸い花なら丸いブーケにするように、高さのある花なら高さのあるブーケにするわけです。

 

デルフィニウムといえば、皆さんの中には、今から20年ほど前、高橋永順さんによってその美しさを知った方もいるのではないでしょうか。実のところ、私もそんな一人で、野草風のアレンジに憧れましたっけ。

 

ちなみに、フランス語で田園風というほどの意味のブーケ・シャンペトルを作る上でも、デルフィニウムは欠かせない存在ですが、詩人の春山行夫さんによれば、フランスでこの花の花言葉は「野原の喜び」です。永順さんも知っていたのかなあ。(2009.6)

 

 

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【夏の自然】

 

夏の自然といえば、数年前に訪れた札幌の白旗山を思い出します。そこは、あらゆる緑が溢れる中、ひっそり群生する野苺、風に揺れるヤナギラン、草むらで踊るイケマ、光輝く水たまり、とまるでタルコフスキーの映画『ストーカー』の一場面のような、田舎とも違う非日常を感じる場所でありました。

 

それからというもの、私は夏のブーケや花飾りを作る時はさまざまな緑の交錯を心掛け、花や果実はそのアクセントと考えています。面白いことに、夏の緑はごちゃごちゃに混ぜ合わせても大丈夫。ご覧のとおり、時には野菜だってブーケになるわけです。

 

もう一つ、夏の自然といえば、ツール・ド・フランスがあります。自転車ロードレースのテレビ中継ではその土地の自然を満喫できますから、私は毎年フランスの夏の自然も味わっているようなもの。もっとも、今年は新城選手がアタックなんぞした日には、もう景色どころではありませんね、皆さん!(2009.7)

 

 

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【シリンダー型のガラス器】

 

たとえば、シンプルな形の白い食器は、季節や料理を選ばない何にでも合う一枚として、皆さんのご家庭にもあるかと思います。そんな白い食器のように、使い勝手の良いフラワーベースといえば、このシリンダー型のガラス器です。

 

今の季節なら、アジサイやモルセラが良く似合うでしょうし、季節の果実を飾っても素敵かなあ。もっとも、ツェツェの名高い「四月の花器」や、ジェフ・リーサムの花飾りのごとく、いくつか並べれば、現代風の洒落たデコレーションも簡単に出来上がります。恐るべき、シリンダー型のガラス器たち。

 

写真の高さ25cmはおひとつ、¥1,470。ちょっとしたブーケも飾れる大きさです。また、私の花飾りで最近よく登場する高さ80cmはおひとつ、¥10,815。こちらは床に置いて、ドウダンツツジなんぞを飾れば、ご自宅にも夏の森が訪れます。(2009.8)

 

 

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【私の花飾り】

 

花飾りの依頼を受けた時、まず確認することが二つあります。一つはその目的です。たとえば、結婚式やパーティー、発表会なら華やかな雰囲気に。教会なら厳粛に。作品展や店飾りなら周りを引き立たせる控え目な印象に。といった花飾りが求められます。

 

もう一つは、花飾りの分量です。事前に飾る場所を訪れたら、人の導線にそって花が必要なところを探し出します。そして、飾る期間や環境、準備できる花材や花器を考えた上で、スケッチを描くというわけです。もっとも、どんな条件であっても、私の花飾りになっていることが大切でもあります。

 

写真は今月始めに行った結婚披露宴の花飾り。長さ113mの客席を白い花とキャンドルで包みました。もとより、私はホテル内の花飾りから今の仕事を始めたので、これは私の原点のようなもの。ところが今回は筋肉痛に。花飾りは経験とともに、体力も必要です。(2009.9)

 

 

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【二つのガラス器】

 

細長いグラスの上下2箇所をラフィアで結べば、新作の花器『二つのガラス器』の完成です。繋げたことで、ただのグラスが飾りやすいフラワーベースに変化しました。まあ、ガラス器に葉を巻くのと同様に、身近にあるものを花器に仕上げるのは私の好むところ。

 

たとえば、2つ繋げれば安定感が生まれますから、グラス1つでは倒れる豆柿の枝葉なんぞも、しっかり飾ることができます。また、グラスの内径は5.5センチあって、小さなブーケも収まります。そして高さが使いやすい15センチで、名高い「四月の花器」と同じというわけです。

 

写真は結婚式の花飾りで、この花器にアイビーを絡めたところ。結婚を象徴するアイビーで2つのグラスを結ぶなんて洒落てるでしょ。おひとつ¥420。アイビー付きは¥840。今月のレッスンでは、これを使ったデコレーションもご紹介致します。(2009.10)

 

 

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【クリスマスローズの鉢植え】

 

セドリック・クラピッシュの映画「パリ!」の中で、冬のバルコニーいっぱいに咲いていた白い花こそ、クリスマスローズの鉢植えです。申すまでもなく、この花は寒空とクリスマスの季節を好み、私たちの心を豊かにしてくれますから、アドヴェントには欠かせない存在でありましょう。

 

しかしながら、私の住む札幌では近づくクリスマスの時期は朝晩の冷え込みが厳しくなる為、あの映画のようにバルコニーで、あるいはフランスの作家コレットのように雪の積もる庭でこの花と対面する、というのはちょっと難しい。無暖房の室内に飾って楽しむのが一番良いみたい。

 

写真のように、鉢は藁で巻いてあたかも中世の絵画のような印象で仕上げたクリスマスローズの鉢植えはおひとつ¥3,990。モミやネズの枝葉で店内が針葉樹の森となる11月中旬から今年も並びます。(2009.11)

 

 

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【球根型のろうそく】

 

太陽の化身としてクリスマスの時期にかかせないろうそく選びも、ブーケの傍らで灯すとなれば案外難しいものです。たとえば、香りがあっては花の邪魔になりますし、ファンシーな色や形も避けたいところ。しかし、ありきたりのものでは面白くありません。

 

そこで、北海道美幌町でコーヒーとろうそくを提供する「喫茶室豆灯」に特注して作っていただいたのがこの球根型のろうそくです。ゆかしい色合いに、自然の生命力を感じるフォルムに、思わず手に取りたくなるのは私だけではないでしょう。おひとつ(大)¥650、(中)¥480、(小)¥320。

 

さて、おかげさまでミニ大通りでブーケを作り始めてもうすぐ2年目を迎えます。有り難うございました。来年も宜しくお願い致します。

 

えっ、今年はこっそり休んでサイクリングをしていなたんて、そんなこといいっこなしよ。(2009.12)